断熱や気密性など高性能な賃貸アパート・マンションのこと。
賃貸アパート・マンションの現状、課題
賃貸アパート・マンションは立地の良さ、セキュリティの高さ、ライフスタイルに合った間取りなど一戸建てにはないメリットがあります。一方で賃貸アパート・マンション自体が家賃を抑えて駅近に住むなどの経済的ニーズを追求しているため、建築費用を極力抑え、性能が低くなりがちなのが現状です。つまり、利回りが優先されて、賃貸アパート・マンションでは居住者の快適性は後回しになっているという課題があります。
・断熱や気密性等の施工の手間と建築コストがかかる仕様は採用されにくい→冬寒く、夏暑く、光熱費もアップ
・同様に自然素材は採用されず、安価な工業製品(新建材)が多く採用されているため、結露やカビも発生しやすい→シックハウスの問題
賃貸アパート・マンションの不満に関するアンケート
上記のアンケート結果は、賃貸住宅の入居前に重視した項目と、現在の住まいで不満に思っている項目を聞いた結果からの抜粋です。「入居前には重視しておらず、住んでから不満に思った項目」として、「断熱性能」や「暖房・給湯 等の設備や光熱費」などが挙がっています。
※賃貸住宅に住む札幌市内の大学生・専門学校生に対するアンケート(2017年3月実施、回答数218人)出典:第10次札幌市環境保全協議会
高性能賃貸のメリット(差別化、社会的意義)
従来の賃貸アパート・マンションの課題を解決し、居住者に快適な暮らしを提供できれば、賃貸オーナーとしては、他の物件との差別化が可能になるという点、さらに脱炭素社会という国の方針にも合致するという利点があります。また、国産材を利用することで、地域経済の活性化にもつながります。
今後に向けて
新築、リノベーションを問わず、高性能賃貸はこだわり注文住宅を得意としている工務店にとっても関心が高いテーマです。オーナーの高性能という差別化や社会的意義に対する理解をどこまで得られるか、コストと家賃設定のバランスの問題はこれからの課題です。こうした課題解決に向けて、高性能賃貸に対する補助金のサポートも期待されています(鳥取など自治体によっては高性能賃貸を先導的な取り組みとして評価し、補助金適用するケースもある)。